大草原の小さな家
お施主様と現在老人施設に入居しているお母様が、休暇に一緒にゆっくり過ごすための別荘です。軽トラの上の庇は、敷地内にあったお母様のご実家を解体した際にでた古材で造りました。古材を使いたいというのはお施主さまの提案で、おしゃれにできたので、とても気に入ってくださいました。外壁は檜板を縦に張ったおしゃれなヤマト張りです。
予算が少ないので、要望したものが出来るかどうか、それを一番悩まれていました。この家はお母様とゆっくり暮らす滞在場所でもありますが、将来お施主様がご夫婦で終の棲家とする場所でもあります。なので、夫婦が暮らせる十分な広さの部屋、それにお友達と畑で収穫したものを一緒に料理して楽しむ使いやすいパーティースペースなど、予算が少ない分延べ面積に限りがありましたが、ほぼご希望を叶えてあげることができたと思います。
一番は自分の言うことをわかってくれる、と思ったことのようです。お施主さまの思いはたくさんあり、それを形にしてくれる人がいなかったようで、そう言う人が欲しかったそうです。それと当事務所がエコロジーを重視していたのでお施主さまと波長があい、気に入られたようです。
敷地内にある大きな畑をしながらリラックスできる部屋になるよう、1階LDKとバス・洗面・トイレの設備関係を土間にし、無駄な廊下部分はありません。ビアガーデンを楽しみたいとのことで、2階屋根を屋上にしました。沼津の穏やかな気候が一年中楽しめるよう、南北に風が通り抜ける大きな窓を設け、冬は南から差し込む日光と、薪ストーブでほぼ暖がとれるとのことです。建築材料、工法ともエコロジーなものを吟味して使い、内壁の珪藻土は予算節約でお施主様がご自分で全部塗られました。
今年の冬に訪問予定ですので、その時にインタビューをしてきます。(気に入ってはくださってますが、インタビューをしていませんので。)
お母様が一番気に入られたのは、お風呂だそうです。お風呂で一番問題になるのは寒さとスリップ、特にお年寄りは命取りになるので、予算が厳しい中一番贅沢をしました。床は15mm厚の炭化コルクタイルで、ヒヤッと感はなく、滑りません。壁はヒノキにして、ヒノキの香りのお風呂を楽しめます。
キッチン側から見たリビング。窓の上についている丸い穴は煙突の穴で、ここに薪ストーブを設置しました。薪ストーブの暖かい空気が対流するよう天井旋をつけました。手前はオールステンレスのキッチン台で、こちらで設計したオリジナルです。業務用流しの工場で作ってもらい既成品の半分程の価格でできました。予算削減の一工夫です。
お母様の寝室です。全体は6帖の広さで畳3帖にお施主さまが布団を敷いて、手前の3帖はお母様のベットを置き、寝るときも見守りたいとのことでした。部屋への入口ドアは、車椅子が楽に出入りできるよう一間半が全開します。
2階夫婦のための12帖の部屋です。同じくらいの広さのベランダが隣にあり、春、夏、冬の3シーズは半屋外が楽しめます。北側に押入、トイレ、ミニキッチンを設け、南には大きな窓を取りました。
2階ベランダから屋上に上がるはしごです。アルミ仮設用のものを使い、最初の設計の1/5ほどの値段で取り付けました。予算削減の一工夫です。外壁はヒノキのヤマト貼りで、おしゃれです。